緑内障とは

最近では緑内障にかかる患者様が増加し、中でも正常眼圧緑内障と呼ばれる自覚症状もなく、眼圧も高くないのに緑内障になる方が非常に多いことがわかってきました(正常眼圧緑内障)

緑内障になるとまず視野(ものが見える範囲)が欠けてきます。そして徐々に見える範囲が狭くなり、最終的には失明してしまう恐れのある病気です。

症状や患者様により進行のスピードは異なり、ゆっくりと進行する場合や、急速に悪化する場合があります。 ゆっくりと進行する場合は、視神経の障害はゆっくりと起こり、視野も少しずつ狭くなっていくため、眼に異常を感じることはありません。
急速に悪化する場合は、急激に眼圧が上昇し、目の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状をおこします。

一般的に緑内障は、ゆっくりと進行するため自覚症状がほとんどありません。
気付いた時には緑内障の症状が進行してしまっていることが多いです。
そのため、緑内障は視覚障害の原因の第一位となっており、早期発見・早期治療が大切といえます。

緑内障の原因

緑内障の直接的な原因は、眼球内の圧力が高くなることによります。
しかし、眼球内の圧力が高くなったためとはいえ、ほとんどの場合、なぜ眼球内の圧力が高くなったのかという正確な原因がわからない場合が多いです。
そのため、定期検診での早期発見が重要といえます。

緑内障の中でも日本人に多いのが正常眼圧緑内障だといわれています。正常眼圧緑内障とは、眼圧が高くないにもかかわらず緑内障になることをいう。この緑内障になる理由として2つほど考えられています。

※緑内障を起こす眼圧が人によって異なるため、正常範囲という眼圧は全ての人にとって適応とはいえません。

また、次に当てはまる人も緑内障には気をつけてほしいので、一度検査を受けることをおすすめします。

近視はその程度が高いほど、緑内障になるリスクが高いといわれています。
また、低体温・低血圧・頭痛・冷え性の方は、血流が悪いと考えられ、この血流の悪さが、視神経にダメージを与える要因になりうると考えられています。

緑内障の予防

緑内障は、定期的な検査が一番の予防法といえます。
緑内障は、眼圧測定だけではわからないため、眼底検査、視野検査などが必要となります。
当院では、それに則した検査機器を導入しています。

また、緑内障は、ぶつかって眼圧が上昇する場合や生まれつき(隅角が未発達)でない場合には、生活習慣(糖分の摂りすぎ、血液がドロドロ、眼精疲労、ストレス、運動不足など)と何らかの関係があるのではないかと考えられています。

緑内障の治療・予防には、栄養補助食品や生活習慣の見直しなどによる日頃からのケアも重要です。

緑内障の診療内容

眼圧測定

角膜に空気やセンサーを当てて眼球の固さ(眼圧)を測定します。正常値は10~21mmHgですが、緑内障の場合21mmHg未満なら問題ないというわけではなく、視神経乳頭の陥凹の進行が停止するレベルまで下げるように治療します。
眼圧は季節や時間帯などによって変動し、緑内障の人は変動の幅が大きいことも知られています。

視野検査

自覚症状を確かめる検査です。
緑内障による視野異常の進行パターンは、だいたい一定していますので、視野検査により、病気の進行段階を把握することができます。

眼底検査

視神経乳頭の陥凹を、直接確認する検査です。
視神経乳頭の変化は視野の異常よりも先に現われますので、緑内障の早期発見、とくに眼圧に変化が現われない正常眼圧緑内障の診断に、威力を発揮します。

緑内障の治療内容

治療方法は、薬物療法・レーザー治療・手術などありますが、すべての緑内障に対して同じ治療効果があるのではなく、緑内障の種類や症状の出方などにより、一人ひとりに適した治療方針を決定していきます。
多くは点眼での治療を継続していれば失明に至ることはありません。

患者様にとって、どの選択肢が最も適しているか外来にて診断の上治療を行っています。
まずは早めに外来を受診されることをお勧めします。

薬物療法

多くの緑内障では、薬物療法が治療の基本となります。
現在では、さまざまな薬効を持った点眼薬が発売されており、緑内障のタイプ・重症度・眼圧の高さなどに応じて処方されます。点眼薬の種類は緑内障治療薬だけで現在10種類以上あります。
一種類の目薬だけで効果が少ないと判断された場合は、複数の目薬を組み合わせて処方されます。
点眼は1回に1滴、複数のときは5分以上空けてさすことが、なるべく副作用を少なくして、効果を得る点眼方法です。
また、眼圧を下げる飲み薬もありますが、全身の副作用が強く出ることがあり、内服できない場合もあります。
目薬は病状を維持するためのものです。症状が改善しないからといってやめてしまわず、長期的に根気よく続けていくことが重要です。

レーザー治療

レーザー治療には主に二つの方法があります。
一つは、虹彩(いわゆる茶目)に孔を開けて、眼内の房水の流れを変えるというもので、多くの閉塞隅角緑内障がこの方法によって治療可能です。
虹彩に孔を開けるときにレーザーを使用します。
もう一つは、線維柱帯に照射することで房水の排出を促進するためのレーザー治療です。
一部の開放隅角緑内障に効果があります。レーザー治療の痛みは極軽度で外来で行うことができます。

手術

薬物療法やレーザー治療が功を奏さなかった場合に行われる治療です。 まず眼内を栄養する水(房水)の流れを調整して眼圧を下げます。
当院ではH22年9月に厚生労働省に承認された新しい手術機器(トラベクトーム)を使用してより安全な手術を行っています。(ライセンス制)
これは従来の方法に比べて眼圧下降効果は同等で、短時間で行える合併症の少ない手術方法です。 トラベクトームは最初に行う手術として適切ですが、適応にならない患者様やこの方法で眼圧がコントロールできない場合には古典的な濾過手術(トラベクレクトミー)を行います。
また、当院ではトラベクレクトミーに「EXPRESS」という新しいデバイスを使用してより確実な眼圧下降効果が期待できるようになりました。
これはこのデバイスそのものが房水を流出させる管として機能するため、流出路をより簡便に作成でき、また規格化されているため一定量の房水の流出が予測可能です。これにより眼圧の下がりすぎなどの合併症のリスクが軽減します。